イケメン彼氏の秘密


結局、私の手料理になった夜ご飯は「普通だな」というお兄ちゃんの評価。


斗真は美味しそうに食べてくれた。


自分で評価しても普通…。


いつか絶品作ろう。


いつか、だけど。


ご飯も食べ終わって玄関の外。



「シトさん…絢歩さんに会えて良かった!」

「まさかお兄ちゃんがアーヤを作ったなんて、ね」



ってことは……もしお兄ちゃんがアーヤを作らなかったら、斗真は私を意識しなかったわけだよね。


つまり斗真は私の彼氏じゃなかった。


お兄ちゃんがアーヤを作ってくれたおかげで今に至るんだ。


なんかお兄ちゃんに感謝するのは複雑だけど。



「お兄ちゃんがアーヤを作ってくれたおかげで今、斗真と一緒にいるんだね」



これに変わりはない。



「いや。それは違うな」

「え?」

「アーヤがいなくったって俺は恭奈を好きになってた」

「斗真…」

「…なーんて。ちょっとキザってみた」



そう言って照れ笑いする。


もしお兄ちゃんがアーヤを作らなかったら。


斗真が私を好きになる、じゃなくて私が斗真を好きになる。


そんな順番だったかもしれないね。


結局はお互いに好きになる。



「じゃ、また明日な」

「うん。またね」

「…………」

「どうしたの?斗真」

「あー…帰りたくないだけ。また明日も会えるのにな」

「私も帰したくないよ」

「なんか言う台詞、普通は逆だよな」



確かに…少女漫画では男の子の方が「帰したくない」って言って、女の子が「帰りたくない」って言ってる気がする。



「まぁ、俺らは俺らってことだな」

「だね」

「おやすみ、恭奈」

「おやすみ、斗真」



そう言いながらも、少しだけ長めのキス。


これからもずっとお互い好きでいられたらいいな。








ーAfter story その① endー




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