罪語りて所在の月を見る


今現在、渉は校内の窓拭きをしている。時間は授業が全て終わった放課後、掃除当番でないものは帰路についたり、部活に励んだりと、実際、窓向こうのグラウンドでは陸上部が列を乱さず走っていた。


そんな学園風景、青春を謳歌してよう生徒たちの中でも、渉と同じことを考えている者はいないだろう。


そんな自身の変わりぶりを自覚しながら、渉はテーマに新しいタイトルを与えた。


『なぜ、清掃時間は小・中・高と同じではないのか』


ずいぶんと地味な疑問だ。テーマを思い返すとやはり考えなくてもいいかと思えど、窓拭きをする今、清掃が頭から離れない。


それに腕を動かすことだけに意識を持っていけば、飽きる。


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