蒼幻の天使~A Solitary Flower
家に帰るとすぐに着替えて髪を乾かした。

二人の間に何があったのか拓ちゃんにすぐにでも聞きたくて、今はパパもママもいない家の中をバタバタと走り回った。

拓ちゃんが傷つけたなんて思いたくないけれど。

沙希の思いつめた態度からは何かあったとしか思えなかった。

拓ちゃんはもう家に帰っているかもしれない。

拓ちゃんの家のドアチャイムを鳴らす。

少しして開いたドアから拓ちゃんの驚いた顔が覗いた。

「話があるの。入れてくれる?」


2階にある拓ちゃんの部屋。

男の子にしてはきちんと整頓されていて、掃除も綺麗に行き届いている。

小さい時からそうだった。

いつ来ても綺麗に整頓された部屋で私はよく拓ちゃんとゲームをしたりアニメを見たりして遊んだことを思い出していた。

散らかしてもすぐ片付ける拓ちゃんをすごいと尊敬の眼差しで見ていたことも。

拓ちゃんは小さい時に母親と死に別れたから、自分のことは自分でやるという習慣が自然に身についたようだった。


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