蒼幻の天使~A Solitary Flower
「で、話って?」

放課後の屋上で手すりにもたれ掛かりながら少し離れて立っている私を見下ろすセイジュ。

気持ちばかりが焦ってしまってそんなつもりはないのに、なんとなくセイジュを睨みつけてしまう自分に気づく。

でも、仕方ないじゃない。

私は大切なママを奪われたのよ。

そう心の中でつぶやいて納得する。

春とは言っても屋上の、しかも放課後の風は少し冷たくて私の緊張した体をさらにこわばらせた。

「ママのことよ」

緊張してセイジュの顔を見ることもできずに、足元に視線を落としながらつぶやいた。

「…会いたいか?」

少しかすれた優しい声が聞こえて思わず顔を上げる。

セイジュは視線を一時もはずすこともなく見つめていたような雰囲気でたたずんでいた。

「会いたいよ。ママの、優しい声が聞きたい。『美月』って呼ぶ声が聞きたい…!」



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