レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
突然、俺は後ろから誰かに羽交い締めにされる。


「なっ、誰だよっ?!」


そのまま、俺は目の前に来た男に鳩尾を殴られ意識を失った。
それはあっという間の出来事だった。

気付いた時には病院のベッドにいた。


目だけしか動かない。
体が物凄く、だるい。

ぼやける視界の端に写ったのはりさだった。


「り、さ」


そう声をかける。
俺に気付いたりさが俺の隣に座った。

それから笑顔を浮かべて話す。


「起きた?」


「……ど、うい、こ」


「あ、まだ喋らないで。麻酔効いてるから」


「……ま、すい?」


「……ごめんね、いきなり」


「………?」

意味がわからない。
いきなりすぎて。

何もかもがわからない。


「……これ、取りたかったの」


そう、言って俺に見せたモノはチップだった。


「……………ち、ぷ」


「……これがなかったら…伊織、自由になれるでしょう?」


「……は?」

会話をしたことで、段々と意識がはっきりしてくる。
だけど、体は動かない。


「私が解放してあげる」


何を、言ってるんだ?

意味が、わからない。


「まだ、伊織は寝ててね」


そう言って、俺に微笑んだ。
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