レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

独りの怖さ…美佳

泣き疲れて、眠ってしまった伊織の髪の毛に指をゆっくりと差し込む。

それからゆっくりとかすように動かしていく。


涙の乾いた跡が残る頬。
年齢よりも大人びた見た目。


やっぱり、伊織が殺してしまったんだ。

薄々感付いていたことだけど、悔しくなる。



まだ、こんなにも幼いのに。

人を殺そうとするぐらい憎まなきゃいけない事情があるだなんて。




実質、伊織には両親がいなくなってしまったわけで。


伊織は独りになってしまったんだ。



…………それならば。



私が守ってあげる。

誰よりも伊織を信じて、伊織を求めてあげる。



伊織の家族になれるように頑張るから。




伊織の笑顔を取り戻せるように頑張るから。




……この、誘いが伊織の自由を奪ってしまって。


様々な裏切りを与えてしまって。
人を信じられなくさせてしまうなんて、ね。


ただ、純粋に伊織を救いたかっただけなのに。





孤独の寂しさを知ってるから、同じ思いをさせたくなかっただけなのに。
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