レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
いつか、こうなることは予想してた。

お気楽に生きてきたわけではなかったし。
覚悟がなく、レンタル彼女を始めたわけでもなかったし。


きっかけは伊織の客だったけど、でも伊織がただ貧乏くじ引いただけであって。

他の誰かが同じことしても、全然おかしくなかったんだ。


だから、私は伊織を責める気なんてサラサラない。


警察に通報されて、事務所に押し寄せてきた時。

頭が真っ白だった私に、社長は言った。


「お前は私に騙されていただけだ。
だから、何も心配することない」

その一言で直感した。



社長は、一人で何もかもを背負う気なのだろうと。


私だって、経営者ではなかったけど当事者なんだ。

強要されてたんじゃない。
自ら進んで働いたのだから。



だから、私も罪を背負う必要があるだろうと思った。


お金を支払えば、釈放されたかもしれない。

だけど、私も社長もそんなことはしなかった。


これは、自分の罪なのだから。
< 317 / 324 >

この作品をシェア

pagetop