レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
聖が嫌いなんじゃない。
聖によって、伊織への気持ちが揺らぐ自分が嫌いなんだ。


こんな、生半可な気持ちで伊織を好きでいたわけじゃないのに。


…とにかく。
聖に会って、カバン返して貰おう。

そう、思って私は学校に行く準備を始めた。



大学について、先に席に座っている尚子の隣に座った。


「はよ、尚子」


「あっ、はよー」

ニヤニヤした顔の尚子が頬杖をつきながら私を見る。
なんか、勘違いしてる。


「聖君、いいじゃん」


「ない、まじないよ」


「てか、何がそんなダメなの?」


「強引だし、勝手だし、自己中だし、顔がよくても中身がダメ!」


「…………ほう、顔はいいと思ってんだ?」


「え?」


突然、会話に入ってきた声に私は目をまん丸にする。
後ろを振り向くと、そこにいたのは。


聖だった。


「ひっ、聖」


「てか、言いたい放題じゃん」


「……それは、だって、そのままじゃん」


「まあ、そうだけど」



不貞腐れながら、聖は私の隣に座った。
まだニヤニヤしてる尚子を肘打ちする。
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