散歩道
プロローグ
「冷めちゃった。」
届いたばかりのメールを眺める。
友達の紹介から始まったメールも電話も
最初に比べて味気のないものとなってしまっていた。
最初は、この人こそ!
って思ったはずなのに。
「また?」
葉月が呆れた表情を見せた。
白川 葉月 小学校からの付き合いで
腐れ縁のようだった。
少し童顔な顔は、
ショートカットでミルクティー色に
染めていた髪を黒く戻してから
一層 幼さに磨きがかかったと思う。
「あんなに好きだったはずなのになー」
机に顔をつけると、ひんやりと気持ちがいい。
動きたくない怠惰な気持ちが膨らむが
味のなくなったガムを口のなかで
居場所を失っている。
不味い。
そのままの体勢で再びメールBOXを開く
[ごめん、別れよう?]
目の前にいない彼、別れを告げるも
痛まない心。
たった半年だけだったけど
想い出はたくさんできたはずだった。
しばらく思い出に浸っていると
ケータイが震えた。
届いたばかりのメールを開く。
[分かった。]
あー、呆気ない。
上手くいかないイライラ。
ガムも吐き捨てた。
「平々凡々。十分な彼じゃん。もったいない。」
「そう、別に特に不満はないんだけど
別に好きでもない。好きってなにー?」