梶山書店物語〈壱〉
「休みに見合いか。
何処かのお嬢様だな」

嫌味だけは本当に一級品だな。

「店長?」

先程の来店して来た若い人達が騒がしくなって大滝の声も聞き取れなくなってきたのに毎日、小言を言われ続けてる小姑のような男の声だけは真っ直ぐに耳に入ってきた。

「びっくりした。奥村くんじゃないの」

もしかして騒がしい連中の友達だったのか。

「おはようございます」

「お疲れさん。飲み会?」

「…そんなとこです」

奥の騒がしい連中達が奥村くんを呼んでいる。特に女の子。
やっぱモテんだな。

律儀にお辞儀して奥村くんは席に戻って行った。



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