再会~初恋のやり直し~
その日、三好君は市原君に呼び出されたそうだ。

「三好。オレ由香と寝たよ。オレ由香が好きだ。三好はどう思う?」

「市原。お前何言ってんだ?山田さんは人妻だぞ?それに正輝の母親だぞ?」

「そんなの分かってる。でも、オレの好きって気持ちは抑えられない。こんな気持ちになったのは初めてだ。なあ、三好も由香のこと狙ってるんだろ?由香のせいなんだろ?独身貫き通してきたの?オレ今回はお前に負けたくないんだ。」

「お前、何言ってるんだ?勝つとか負けるとか、意味わかんないよ。愛は市原のことが好きだったよ。市原のことを心から愛していたよ。」

「お前が愛を選ばなかっただけじゃないか!愛はオレのことなんか愛してなかったさ。三好の親友だから結婚したんだ。子供たちも本当にオレの子か怪しいもんだぜ!オレはいつもお前に劣ってる。」

「お前、本気で言ってるのか?」

「あー、子供たちのお前を頼ってる。」

「お前がそんなこと考えてるなんて思いもしなかったよ。間違えなく愛はお前を一番愛していたさ!そりゃあ、オレと愛は付き合ってたよ。でも愛がオレから離れていくまでいろいろあったさ。お互い傷つけ、傷つき、そうして最終的にあいつはお前を信じ、お前を愛したんじゃないか?あいつはお前を心から愛していたんだよ。」

「なんで三好にそんなことが言い切れるんだ?オレはお前より劣ってるんだ。山田もお前の方が好きになっちゃうから先にいただいたのさ!」

「お前は愛も山田さんも本気で愛しちゃいいなかったのか?どれもこれもオレへのあてつけか?」

言い合いは、何十分も続き、最後には取っ組み合いになったそうだ。止めに入ったのは市原君の娘の春菜ちゃんだったらしい。どこまで大人たちは春菜ちゃんに迷惑をかけるのか。

でも、2人は思ってることを言い合うことで何か吹っ切れたようだ。2人は語り始めたらしい。

2人とも小学校5年生のころから、私に恋心を抱いていた。市原君は三好君と私が一緒に学級委員をやるのがハラハラしたそうだ。私を学級委員に推薦したのに自分がじゃんけんにまえるなんて悔やんだそうだ。そして三好君は、自分が私を好きだという気持ちが分かってしまって、自分がふられたら学級委員がやりにくくなるのを恐れ、気持ちを伝えるのは5年生が終わったらと思っていて、思い切って電話したら、母親に一方的に電話を切られ撃沈したということ。

それらの事実を市原君と三好君はこのとき初めて語って、笑いあったそうだ。だから、山崎君を私から引き離すことに2人が協力的だったことも納得できると笑いあったそうだ。

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