再会~初恋のやり直し~
「市原は愛を守り続けたんだ。オレは愛をいたずらに傷つけた。自分の”山田を好きだ”という気持ちを貫き通すためにオレは愛を傷つけた。”山田を好きだ”という気持ちは市原も同じだったはずなのに。」

オレはそれ以来わざとチャラ男を演じることにした。真剣に恋愛することを避けたかったから。誰かをいたずらに傷つけたくなかったし自分も傷つきたくなかった。」

私は彼がチャラ男を演じていた理由をこのとき知った。

「オレは市原のことも傷つけたと思っている。そして市原のその傷は多分まだ癒されていない。市原は悩んでいたはずだ。オレと愛のことを疑ってたみたいだし。市原はそれを口にすることはなかったがな。そして愛が突然死んじゃったんだ。3人もの子供を残してね。」

「そうだったの?」

「それからは市原は必死で子供を育てたよ。愛の親友だったかすみも協力的だったし。彼女は子供が出来なかったからな。オレも力になりたいと思っていた。そんなこんなで一生懸命やってるうちに俺達のわだかまりみたいなものはなくなってたんだ。それなのに、この春突然君が俺らの前に現れたんだ。」

「私、現れないほうが良かったのかな?」

「オレは君に再会できてよかった。君に会わなければ前に進めなかった。
多分市原も同じ気持ちだったと思う。愛への気持ちや由香への気持ちそしてオレへの気持ちがごちゃごちゃになってたんだ。そして俺達の気持ちが爆発したんだ。」

三好君はそこで、大きく深呼吸した次の言葉を言った。

「オレが君と市原が関係を持ったことを知った時だ。」

私は三好君の顔をまともに見れなかった。


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