志緒少々
「とにかくあなた、怪しいのでもう一度名前を教えて下さい」
「新日本債券の井上です」
「下のお名前は?」
「竜二です」
「それ、本名じゃないでしょう?」
こういうのって、絶対偽名を使ってるはず。
「本名です」
って言うだろうけど、井上さん(偽名)はちょっとうろたえてきました。
「そもそも新日本債券って会社、実在しないんじゃないですか?」
「実在しますよ」
「だって井上さん、携帯からかけてきてますよね?」
「出先なので」
「それにしては静かじゃないですか」
「そうですか?」
「まあいいや、御社の住所、どこです?」
「東京都港区、台場3丁目……」
その住所をメモりながら、私は笑ってしまいました。