君が恋に落ちるまで。




「 夜、どこか食べに行こうか? 」


「 え? 」


「 瑞穂ちゃんの卒業祝いだよ 」




あの日から何も変わってない。




そう言いたいけど、確実に
変わっていた。




「 奏多さんのとこ行くんですか? 」


「 まさか!せっかくだしおいしいもの
 食べに行こうよ 」




すぐ隣に居るのに遠い彼は
楽しそうに目を細めて、
車は真っ直ぐ家へと向かっていた。




「 おいしいもの・・・ 」


「 うん、何か食べたいものある? 」


「 ・・・・スプモーニ 」


「 お酒はだめだよ 」




”未成年なんだから”と笑う彼は
あたしの膨れっ面を横目に見て
小さく吹き出していた。





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