【短篇】鬼ごっこ
妻は以前から決意していた。


いくら歳をとったとしても、花として咲き続けていたいと思っていた。


しかし、現実は水も肥料もくれぬ。


花は水がなくては、枯れてしまうのは自然の習い。


そんな現実に妻は、飽き飽きしていた。


妻は、棚から一枚の紙を取り出し男の前に広げた。


「ん…、なんだこれは…。仕事のことか??」


妻は、また仕事…、と心の中で思いため息を付き静かに話し出した。


「離婚届けですよ。すでに、私は判を押してありますので、あとは貴方が押して下されば成立します。」


「おいっ!!お前っ、何を勝手なことを!!私に泥を塗る気か!!お前はいつも…。」


男は、コーヒーをガチャンとテーブルに押し付け、納得いかないと妻を罵った。
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