三毛猫レクイエム。


 ねえ、あき、教えて。
 これは、あきが望んでいることなのかな。

 あの歌詞を、他でもないヒロに渡したのは、こんな日が来ることを想像していたの?

 あき、私を置いていく決意は、痛かった?
 あきに置いていかれた私の心は、痛かったよ。

 明星って、あきのことだよね?
 二つの翼でって、二人でってことだよね?

 あきは、自分じゃない誰かと、私が笑っていて、それで良いの?
 私が翔と笑っていたときは、あんなにヤキモチを焼いていたのに。

 あき、私、どうすればいいの?
 私は、一生、あきのものでいたいのに。

 なんで、私の心はこんなにも揺れてるの?


「時間が、欲しい」

 心を、整理する時間。

「私は、ヒロが言うようにあきのことが好き。今でも、忘れたくないって思ってるの。忘れるのが、怖いの」
「ああ」
「あきのことが、好きで、好きで……仕方ないの」

 ヒロは、何も言わずに私の頭を撫でた。

「本当に、ごめんな。こんな、泣かせて……」

 そう言って、そっと私の涙をぬぐったヒロは、

「本当に、ごめん」

 何度も謝って、立ち上がった。

「……それじゃあ」

 私がはっと顔を上げたときには、ヒロは私に背を向けていた。



 ヒロは、いったいどんな思いであきの言葉を伝えたんだろう。
 ヒロは、いったいどんな思いで、私に告白をしたんだろう。

 私の心は、激しく揺れていた。

 どうすればいいのか、わからないほど、私の心は揺れていた。

















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