欠点に願いを






翌日から一週間、雪は休み続けた。
雪が一週間くらい休む事はよくあったけど、経緯が経緯だっただけに、俺はどうも落ち着かない。
タイミング悪く定期試験が近づいてきていて、俺は他人のコトで珍しくソワソワしていた。
雪に見せてあげるつもりで、珍しくノートも綺麗に取っていた。普段は授業なんて、ただの子守歌だと思ってるけど。


担任の話によると、雪は怪我に合わせて持病が悪化したらしく、学区内の総合病院に入院しているそうだ。
今は症状も改善して、面会も許可されているらしい。酷く寂しがっているそうだ。
……雪らしい。まるで子ウサギだ。






その週末、俺は雪が休んでる間の授業のノートを抱えて、お見舞いに向かった。
俺が病院に来るのなんて喧嘩して怪我する時くらいだけど、その怪我もなかなかしなくなっていた。
だから本当に久しぶりだ。



案内された病室に入ると、雪は一人で、社会現象にもなったアイドル集団と、インディーズながら大ヒットしているバンド・DEARが出演している音楽番組を観ていた。


「雪、久しぶり」

「……あ、宏樹だ〜。久しぶりだね〜」





.
< 25 / 108 >

この作品をシェア

pagetop