欠点に願いを
ニコニコしながら振り返った雪は、思っていたより元気そうだった。
リモコンでテレビで消し、ベッドの横に備え付けられた小さな棚からお菓子を取り出す雪。


「……雪、俺お菓子持ってきたよ」

「良いの良いの。何か色んな人が沢山お菓子持ってきてくれるんだけど、僕一人じゃ食べきれないんだよね。だから宏樹も沢山食べてってよ」


雪の言う通り、棚には色んな種類の果物や菓子が入ってるようだった。


「……ってか雪、テレビ観なくて良いの? DEARとか出てるよ」

「大丈夫だよ。僕、テレビとか観てるわりには流行分かんないんだ」


そう話す雪は、何処か寂しげだった。
きっとテレビを観るのも、入院中の暇を紛らわす為であって、流行を肌で直に感じる事も無いんじゃないのか。

俺は取り敢えず雪を笑顔にさせたくて、持ってきたノートをベッドの机に広げた。


「そうだコレ! 雪が休んでる間の授業のノート、試験も近いし勉強しなよ」


雪は顔を明るくさせ、広げたノートをパラパラと確認する。


「うわ〜、随分と進んでるねぇ。……コレ、本当に宏樹がノート取ってくれたの?」




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