欠点に願いを






Je t'aime encore.
Donc, je ne vais pas.

ココが注目するように言った言葉。
それはつまり、ココが俺に伝えたかった言葉なのかもしれない。


「先輩は部活を引退して、半年もしないうちに卒業してしまいます。それを引き止める事はあたしには出来ないけど、それでも伝えたかったんです」


ココが、「俺がココを想って」いてくれたら良いなって。
卒業を引き止める事は出来ないけど伝えたかったって。
それは、つまり。


「ココ。……あの言葉の意味を教えてくれ」

「…耳貸して下さい」


俺はドキドキしながら、ココの口元に耳を近付ける。
ココの息が耳にかかって、それだけで赤面しちゃいそうだった。


「“今も愛してる。だから、行かないで。”」


心臓が止まった、気がした。
確実に息は止まってた。

それが、ココが伝えたかった、意味。

頬に一瞬だけ柔らかい感触があって、少し赤くなったココと目が合った。
逸らせない、逸らさない。

……えーっと、今のは。


「これが、あたしの返事です」






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