のたお印の短編集

アリッサ・ホプキンス

女。

23歳。

アメリカ人。

とある組織の特殊部隊に所属していた新兵。

ある戦争の際にジャングルに潜伏していたが、部隊が戦闘終了後に撤退した事を知らず、1年間たった一人で生き抜いてきた。

戦闘時の極度の緊張状態から精神が不安定であり、また終戦した事を頑なに信用しようとせず、民間人、軍人を問わず、遭遇した者全てを敵と見なして攻撃する。

『最早敵味方の区別もつかなくなってしまった彼女は、今もジャングルの奥地で戦闘狂と成り果て、息を殺して潜み続けている…』

「戦闘狂？違うな」

工作員の言葉を思い出し、省吾は呟く。

アリッサが潜伏しているという某国の密林地帯。

車で近づける限界までやって来た所で、省吾は車を降りた。

「彼女は戦闘狂なんかじゃない。戦争の犠牲者だ」