涙の器
初日のうちはもちろん客なんている訳が無い。そやし、ヘルプの仕事をするしかなかった。

『麗奈さん、三番テーブルのヘルプです。』

『は、はいっ!』

よし、仕事覚えな。うちはめっちゃ気合い入れてテーブルに向かった。早く仕事覚えたんねん、負けず嫌いのうちは単純にそう決意した。

『あ、ここやで~。今日から働く子やねん。柳さん、いじめたらアカンで~?』

『君、名前は?』

客はうちを見て優しく微笑みながら聞いてきたんよ。

『麗奈です。よろしくお願いします。』

名前を言いながら名刺を渡した。慣れた手つきで柳さんと呼ばれた人は名刺を受け取ってくれてん。

『固くならんでええで。自分可愛いし、うちの会社のもんに紹介しといたるわ。』

と笑顔で言うてくれた。めちゃくちゃ嬉しかった。柳さんはうちに色々教えてくれたんやで。水割りの作り方、灰皿を取り替えるタイミング‥詳しく教えてくれた。
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