愛をくれた神様
「言われてみれば…。」

そんな気がする。

大阪の住所も子供の字らしく下手な字だが、よく見ると右上がりのくせだったり、大阪市の市が、微妙に丸っこかったりする。

「和志が書いたハガキに、だれか後から書いたんじゃない?。」

「…そんな事するかなぁ?。」

「したんじゃないの?。」

母は、あとの事はどうでもよさげだった。

「それにしても……。なんか、いいわね。こういうの。」

「ハガキが、料金不足で送られてきた事が?。」

母は首をふった。女の子らしい、シャンプーのにおいがした。

「いやいやそ~ゆ~事じゃなくて。この内容がね。この住所といい、枠いっぱいに書いた郵便番号といい、字は下手だけど、一字一字ものすごく丁寧じゃない。あの子なりに漢字の宿題よりも真剣に書いたんでしょうね。この内容も…たった一行の内容だけど、気持ちがすごく伝わってくる。これは、あの子の、大切な人への、最期のメッセージなのよ。」

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