廻音
「端的に言えば、姉の生活は何も変わりません。
あなたと居た頃の違いと言えば…そうですねぇ。
彼氏居ない歴三年…あ、この期に及んで『別れた覚えはない』なんて言い出さないでくださいね。
それから大学は無事卒業しています。
あなたの言葉を借りるなら『輪廻なら当然の結果だ。』とでも言っておきましょうか。
今は喫茶店で社員として働いています。」

「輪廻が、喫茶店で?」

「はい。学歴からして不思議ですか?
今の世の中珍しい事じゃないですし、姉なりの信念をもって進んだ道です。

…他に聞きたい事はありますか?」

三年間を埋めるような報告は割と無く、簡単なステータスだけで姉の日々は理解出来る。
細かい事までは流石に知りはしないけど、敢えて話す事も無いように思えた。

それでも黒雅さんは違うみたい。
言葉にしなくても、雰囲気で伝わってしまう。

「うん。今はこれくらいで十分だよ。ありがとう。」
と、本人は言うけれど。
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