蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



父が言っている『彼女』は恐らく一之瀬遥だろう。

結局付き合うことにしたのだろうか?

隣で凛花も驚いたように言う。


「へぇ、由弦が彼女をね……。なんだか意外ですね~」

「そうだな。だが由弦もそろそろ潮時だと思ったんだろう。こうなったからには、な」


父は目を伏せて言う。

凛花は父の言葉にうんうんと頷いた。

父はうーむと腕を組み、ため息交じりに続ける。


「あとは冬青だが……。多分あいつの方が厄介だな。あのまま脇目もふらず、墓場まで行きそうだ」

「そうですねー……。他のって選択肢はハナからないですからね」


凛花も重いため息をついた。

木葉は首を傾げながら二人の会話を聞いていた。


と、父が木葉に目を向けた。


「そうだ、木葉。ひとつ頼んでもいいか?」

「なに?」

「雑誌を一冊、下の購買で買ってきてくれないか? 確か今日発売のはずなんだが」

「わかった。行ってくるね」



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