お前が好きなのは俺だろ?
なのに今は……
前より近くなった距離が苦しい……。
その時、一ノ宮君が角を曲がった。
あたしも深くため息を吐いて、その後をトボトボと追った。
でも家までもう少しだし、どうせ一ノ宮君は待ってないだろうし……
そう思うと、歩くスピードがさらに遅くなる。
「はぁ―……」
確かに最初は『王子様』に憧れていた。
でもそんな『王子様』は一ノ宮君が言った通りいなくて……
あたしが追い続けた人は、ただの俺様で悪魔みたいな男だった。
でもね……
不思議なもので……
『王子様』の憧れは、いつしか『俺様な悪魔』への恋心に変わっていたんだ……
嫌いなのに好き……
好きなのに嫌い……
なんでこんな恋って複雑なんだろ……