蜜色トライアングル ~String of origin



その夜。

既にベッドに横たわっていた由弦のもとに、木葉がこっそりと来た。

冬青はリビングで勉強しており、部屋には由弦だけだった。


『これ、ゆづるにあげるよ』


言い、木葉が差し出したのは、昼間にあの山で取ってきた四葉のクローバーだった。


『これ持ってると、幸せになるんだって』

『おねえちゃん……』

『ゆづるが幸せになるように、祈っておいたよ』


言い、木葉はにこっと笑う。

その笑顔はお日様のように柔らかく、暖かかった。

由弦の心に温かい気持ちが広がっていく。

由弦は頷いた。

いつか自分も、木葉にクローバーを、幸せをあげたいと思いながら……。


――――そのクローバーは今も、由弦のアルバムの中に大事に挟まれている。


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