蜜色トライアングル ~Winter Blue

5.俺が守る




<side.冬青>



14時過ぎ。

冬青は濃紺の道着を身に着け、剣の指導をしていた。

土曜の午後は上級者が対象で、ここ数年は冬青が担当している。


「よし、次っ!」


冬青の声に、白い道着を着た男が竹刀を構える。

男は頭上で竹刀を構えてしばし溜めたあと、冬青に向かって勢いよく振り下ろす。


「甘いっ!」


冬青は手にした竹刀で男の竹刀を叩き流し、再度構えた。

その姿はいつも以上に凄みがある。

瞳に宿る光はまるで刃物のように鋭く、男たちを見据える。


「師兄、いつも以上に迫力がありますね……」

「まるで剣そのものみたいな……。何かあったんでしょうかね……?」


後ろでこそっと話していた男たちに、怒声が飛ぶ。


「そこ、何を話している!?」

「すっ、すみません師兄っ」


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