蜜色トライアングル ~Winter Blue



30分後。


指導を終え、竹刀の片づけをしていた冬青の元に由弦が歩み寄ってきた。


「兄貴」


由弦はつかつかと冬青の前まで歩み寄り、兄の正面に立つ。

冬青をわずかに見上げるその目線は険しく、怒りの色がある。


「……オレが言いたいこと、わかってると思うけど」

「ああ」


冬青の言葉に、由弦はふんと鼻を鳴らした。

冬青はいつも通りの冷静な瞳で由弦を見つめている。


「木葉をどこにやった?」

「お前が知らない所だ」

「……っ、兄貴……」


由弦はぐっと拳を握りしめ、兄を見上げた。

押さえきれない怒りがその目に広がる。


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