エトセトラエトセトラ




「ねえ、女の子って何でできてるか知ってる?」


ジージーと、鬱陶しいアブラゼミの鳴き声が響く。八月も後半、あと一週間もしない内に九月になるというのに、蝉の鳴き声と真夏のような暑さは一向に終わる気配がない。

べたりと汗で髪が頬に張り付く。
嗚呼、鬱陶しい。

何もしなくても汗がこめかみを伝うこの暑さへのせめてもの抵抗として、風通しのよい廊下を作業場に選んだのが間違いだったのだろうか。
いや、そもそもの間違いはここに居ること、そして更に遡れば、最後の文化祭に一世一代の思い出に残る劇をやろうと提案したやつがいたこと。
そして、それが可決されたこと。

おかげで私は休日出勤。
いい加減うんざりしてきて、段ボールを切り抜いたシンデレラの城をペンキでぺたぺたと塗りたくりながら、私は退屈しのぎに投げやりな質問をした。


「は? 何それ」

本日唯一の作業員仲間は、段ボールにカボチャの馬車の絵を書きながら煩わしそうに眉を寄せる。



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