エトセトラエトセトラ
次の日、彼女とは仕事のあと夕食を一緒に食べることになっていた。
フレンチにしようか、イタリアンにしようか、久しぶりの外食にわくわくしながら考えを巡らせていると、待ち合わせ時間きっかりに彼女が現れた。
しかし彼女は何故か外食をやめようと言い出した。そして、話したいことがあるから僕の家へ行きたいとも言った。僕は、家には夕食になるようなものが何もないから、と予定通り外食をすることを勧めたのだけれど、彼女は聞かなかった。簡単なものでよければ私が作るからお願い、と真剣な表情で頼まれ、僕はついに折れた。
部屋に着くと彼女は早々にソファへ座り、僕を隣に座らせた。そして朝にコーヒーを飲んで置きっぱなしだったテーブルの上のマグカップをおもむろに手に取って僕の目を見る。
「どうしたの?」
問うと、彼女はポケットから例の"落下タイマー"を取り出して僕に見せた。
「見て。針は今10時を指しているわ。文字盤がないからおそらくでしかないけど」
「うん」
それがなに?と目で問う。
「このマグカップをよく見てて」
そう言うと彼女は手に持ったマグカップをパッと放した。
「あ、」
無意識に声が出る。
割れた、と思った瞬間、耳の中に風が吹き抜けるような不思議な感覚がして、反射的に瞬きをひとつした。
すると。