冗談ばかりの彼氏さま
ふふん、と余裕に笑ってみせると
女の子たちは悔しそうに下唇を噛んだ。
じりじりと迫る距離に体勢を整え、構えると
「なーにやってんの?」
その場には不釣り合いなほど、明るい声が聞こえた。
その声に女の子たちはビックリして
あたしから視線を外す。
「椋也様っ」
そこには、あたしのことを好きだと言う彼がいたのだから。
「ゆーま。探したんだよ?こんなとこで何してたの?」
「……べ、べつに」
てゆーか、見れば分かるよね!?
あたしが、こんな大勢の子に囲まれてたらさ!
「椋也君、たすけて~。南さんが私達に暴力ふるうの」
は、はいー!?
それ逆だから!!あなた達がやろうとしたんでしょ?……未遂だけど。
でもでも!
あたしじゃなかったら、多分……いや、確実に殺人事件になってるよ!!