‐彼と彼女の恋物語‐



「(仕事、しなくちゃ)」



コーヒーカップを持ってキッチンに向かう。綺麗なシンクにそれを置いて今日の朝食はどうしようかとふとカレンダーを見る。


働き初めてどのくらいたっただろうか。1ヶ月、否もっとだ。


彼の好きなものは和食にサラダにフルーツにコーヒー。パスタならスープパスタが好きで、パンは柔らかいのが好きで固いのはあまり好まない。


色だって薄いものがよくて、家具や服がその色たちに統一されてる。


インテリアには特に興味もがない。だけどミーヤが走り回ってもいいように柔らかい素材を選んでる。



たった1ヶ月、されど1ヶ月。それなのに彼のことはたくさん知っている。その現実に涙が出そうになるのは何故だろうか。


カレンダーが歪んでいくのにハッとして目元を拭う。今日は先生の好きな豆腐の味噌汁を作ろう。


冷蔵庫のなかには相変わらず大量の食材が詰められている。彼女に重たいものを持たせたがらない彼が勝手に補充しておくのだ。



そのなかには彼は食べないチョコレートのお菓子や、飲み物。彼女の好きなものが置かれていたりするからまた、厄介だ。



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