蜜色トライアングル(番外)~Dignified flower
花壱にて
週末の夜。
凛花は花壱でウーロンハイを飲みながら蕎麦をつまんでいた。
花壱の蕎麦は信州から蕎麦粉を仕入れているので、風味が強く、コシがある。
ぺろっと五人分平らげたところで、片手を上げた。
「すみませーん」
隣の席の客が『なんだ?大食い記録にでも挑戦してるのか?』とでも言いたげな視線を投げる。
そんな視線をよそに、凛花はさらに大声を上げる。
「す、み、ま、せ――――んっ」
「……オイ、そんな大声上げなくても聞こえてるよ」
凛花の後ろから声がかかる。
振り返った凛花の目に白皙の顔が映る。
ふわっとした茶色の髪に、焦げ茶の瞳。
バイトの制服である作務衣を着てはいるが、その美貌は隠しようがない。
桐沢由弦。21歳。身長178cm、血液型B型。
南城工科大学に通う大学四年生。
ツンデレっぷり、もといサディスティックぶりが若い女性になぜか人気。
年下の従兄弟の顔を見上げ、凛花は空になった皿を指差した。