蜜色トライアングル(番外)~Dignified flower
「これ、もう一皿頂戴」
「……あんた、うちの蕎麦を食いつくす気か?」
呆れたように由弦は言いながらカウンターに戻っていく。
やがて由弦は蕎麦の乗った皿を持ってきた。
カタンと凛花のテーブルに置く。
「しかしあんた、よく食うな。本編ではここまで食ってなかっただろ?」
「いろいろありすぎてストレスたまってんのよ。言っとくけど今日のお代はあんたたちに払ってもらうからね」
凛花の言葉に由弦は眉をひそめた。
凛花はさっそく蕎麦に箸を伸ばしている。
「あんたたち? ……今日来んのは木葉じゃないのか?」
「木葉は今日は来ないわよ。叔父さんのところに見舞いに行ってるはずよ」
「は? ……ってことは、まさか……」
言葉を止めた由弦の後ろで。
入り口のドアがガラッと開いた。
整えられた髪に銀縁の眼鏡、すらっとした体つき。
出張の帰りなのか、スーツを着込みビジネスバッグを手にしている。
角倉圭斗。29歳。身長184cm、血液型A型。
角倉内科医院の若先生。内科専門。
基本的に優しいがたまに裏の顔を見せる。