蜜色トライアングル(番外)~Dignified flower
由弦は圭斗の顔を見、あからさまに顔をしかめた。
「出たなヤブ医者」
「御挨拶だな、由弦」
くすりと圭斗は笑い、凛花の座るテーブルに歩み寄る。
凛花はずるずると蕎麦を食べていたが、兄が隣に座ると同時に顔を上げた。
「遅かったね、圭兄。出張行ってたの?」
「ああ。沖縄までね。さっき戻ったところだ」
圭斗の言葉に由弦はフンと鼻を鳴らした。
その目は険悪で、圭斗を目の端で睨みつけている。
「ヤブ医者が沖縄出張ねー。何しに行ったんだか」
「……ヤブ医者ヤブ医者というが、本編で一番木葉のことを気遣ってたのはおれだと思うんだけどね?」
「何言ってんだてめー! 診察室であんなことしやがって!! ヤブを超えてクサレ医者だてめーは!!」
「お前にだけは言われたくないな、由弦。あの鬼畜っぷりは誰にも真似できん、そう思わないか、凛花?」
「……あーもう! 静かに蕎麦食わせろっての!!」
凛花はドン!とテーブルを叩き、顔を上げた。
ぐいっとウーロンハイのグラスをあおる。