素直じゃないあたしを温めて



「っていう、俺のどうでも良い馬鹿な過去話っ」



拓未くんはそう言うと、「ほんと馬鹿だよなぁ、俺」

と小さい声で呟いた。



「って……何泣いてんの!?ちょ、えっ!?」


「だってっ……だってっ……!」




そんな悲しい過去。



きっと、あたしなんかより、もっともっと傷付いてるはずなのに……




「ありがと」


「へ……?」




拓未くんは優しくあたしに微笑んだ。



「誰かが、俺のために……“俺自身”のために泣いてくれたのなんて初めてだったから……」



そう言ってあたしの頭を優しく撫でた。それから、


あっ、母親のあの涙は、別って考えてね


と付け足した。



「拓未くん、間違ってる」


「ん?」


「間違ってるよ、拓未くん……」
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