素直じゃないあたしを温めて
「……ごめん、ちょっと今は一人にさせて」
柳瀬はそう言って、ベッドに寝転がった。
「うん、分かった」
ちょっとだけ声を掛けるつもりだったのに……
疲れさせちゃったかな。
「じゃあね」
静かにドアを開け、出ると、
「亜衣さん……?」
目の前に、腕を組んだ亜衣さんが立っていた。
もしかして、あたし達の会話を聞いていたのだろうか。
「ちょっと……良い?」
そう言った亜衣さんの表情が真剣だったから、言いたい事はなんとなく分かった。
あたしが頷くと、近くにあったもう一つの部屋に連れて行かれた。
この部屋も、さっきと同じような感じで生活感があまり感じられなかった。
別荘だから、そうなのかもしれないけど。
「私達が……付き合ってたのはもう知ってるんだよね」
「はい」
亜衣さんがどうしてあたしと話がしたいのかも、
どうしてそんなこと聞くのかも……
全部、分かる。
というか……
もう会った時から気付いてたんじゃないかなって。