幼なじみじゃイヤなんだ。 Before
桜の部屋の前に立つ──


コンコンとノックをした。





「桜?俺だけど」




返事がない……。




「開けるぞ?……ん?寝てる?」




桜はホットカーペットのうえに置かれたテーブルに突っ伏して、スヤスヤと眠っていた。

部屋はエアコンでも暖められていて、睡魔に襲われても仕方のない状況になっている。


そして、テーブルの上にはノートと英語の教科書。





「勉強してて、寝ちゃったんだな」





勉強はあんまり好きではない方なのに、あのまま南高にしておけば、苦労せずに入れるのに。




「なんで北高に変えたんだ?」




俺と一緒の高校に行きたいからって思ってくれていたらいいのにな。


桜の寝顔を見ながらそう思う。





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