魔王更生物語 -させてみせます、その男!-
始まる奮闘
あの日から、私の日常は戦と化していた。


朝、学校に来て教室でのんびりするかと思っていたらむずむずとアザがうずく。不思議に思って見てみてもなんの変化もない。


なんじゃこりゃ、と思っていたら突然廊下の一箇所が変色して、つまり結界がはられていて。走って向かうと案の定やつらがにらみ合っていたから、ひとまず神城にビンタ。そんで無理やり結界を解かせて教室(なんと私と同じクラス!信じたくない!)に押し込めた………のが、協力者になって翌日の朝の出来事。


それから、なんの嫌がらせか、一日一回はこうしてアザが疼き、そのたんびにだだっ広い校舎を右へ左へと走り回る羽目になっているのです。


「…………くっ、飽きねぇな」


「そっちこそっ、はぁ、はぁ……しかし屋上でまでやらかすとは…」


「どうやって探した」


「そりゃもう、しらみつぶしにっ、探しましたとも…ふはぁ、疲れた」


先ほどまで対峙していた七海さんら聖者組は、私が扉を開けたと同時に危機察知して逃げたらしい。しかたなしに、今は腕を組んで神城に説教まがいのものをかましている。


「その…お水、どうぞ」


「ああ、ありがとうトキくん」


「ほいほいタオルー」


「ユイちゃんもありがとね、毎度毎度」


水筒の水とタオルを受け取り、一旦休憩。その間にも逃げようとする神城との攻防は一言では表せないでので、割愛。


「おまえ、いい加減にしろよ……?」


「神城が真面目に更生してくれればね、いつでもやめますとも」


「だから、んなことねぇって言ってんだろ」


「やってみないと分からないわ!さぁ覚悟なさい今日こそ私の説教三時間フルコースに叩き込んで上げる!」


「遠慮」


「逃げるのか、卑怯者!悪いことしてるっていう自覚ないの!?」


やる気なくフラフラ視線をさまよわせていた神城が、私の一言で動きを止めた。
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