魔王更生物語 -させてみせます、その男!-
無茶苦茶すぎる設定で、

放課後、なんとなくすぐに帰ってしまうのがもったいなくて、とりあえず図書室に寄らせてもらった。ユイちゃんは、いつも一緒に帰る二人が居るらしくて、ごめん今日は…という感じだ。


ならしょうがない、と一人で昼休みに案内してもらった図書室へと向かう。


「…うわ、すっげ……」


さすが高校というか、さすが私立というか。図書館は前の学校よりも広く、蔵書も多くあった。本を読むのが大好きな私としては嬉しい限りだ。早速あちこち見て回った。


(あっ、これ私が欲しくてたまらなかった本じゃないかっ!あっちは、こないだ発売のっ!ああこっちはぁああああ!)


二冊まで貸出できるとのことだったので、三冊手に取り、椅子に腰掛けると借りないと決めた一冊を読み始めた。


そうして読みふけること一時間。比較的短い本だったので一時間程度で読み終わり、外を見るとちょっと暗くなりはじめていた。家まではそれなりに遠いので、そろそろ出ないと帰りつく頃は真っ暗だろう。


きりもいいし、と本をカウンターで借りて誰も居ない廊下をぽつぽつ歩く。


でだしはいい感じ、ユイちゃんっていう友達できたし、本は借りることができたし、満足!


朝のようにスキップ混じりの歩行を続けていると、ふと先の方からユイちゃんの声が聞こえてきた。さらに、別の声も聞こえてくる。


(まさか、トラブル!?ユイちゃん大丈夫かな…)


丁度角になってるところだったので、ゆっくりと身を乗り出して確認する。ユイちゃんは向こうをむいていて、こっちには気づいていない。


ユイちゃんの向かいにいるのは………七海、さん?


見間違えるはずがない、あれは昼休みにあった生徒会長さんだ。あのキラキラオーラは凡人には出せまい。今思えばかなりの美形だった。非常に今更だが。


そうしてる間にも、喧嘩(?)はエスカレートしていき、そろそろ止めた方がいいのか、と私は持っていた鞄を抱きしめた。
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