Mail
 『でもまさかイジメられて転校はするだろうと思ったけど、北海道をでるとは思わなかったからさ。どうやってイジメてやろうかって焦ったけど、そっちにちょうど智がいたからそいつにやらせたの。あんたのクラスに智の先輩がいたからやりやすかったって言ってたよ』
 彩女のメールは何でもないことを報告するみたいに脳天気だった。
「人の気も知らないで……」
『ちなみに先輩、最初あんたを助けようとしてたんだけど、あたしがちょっと言ったら先輩までシカト始めちゃってね。
簡単だったよ。先輩騙すのも、あんた陥れんのも。
あと内海 詩季っていつかの教育実習生。あれ教師になったんだって。確か櫻って教師のこと嫌いだったなぁと思ってね。そいつに櫻のアドレス教えちゃった。
それと櫻にかかってたイタ電、あれ全部あたしが言って、中学の時の友達にやらせてたんだ。
結構ヒドいのもあったみたいだね』
 それらのメールを読んでいる時のあたしは、怒りや悲しみはなく、ただ何も思うこともなく、ただ淡々と読んでいた。そこには彩女との“親友”という糸もなくなっていた。
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