Mail
 「……ん。」
 気がつくと外は真っ暗だった。
「寝ちゃったんだ……」 顔を上げると目の前にパソコンがあった。パソコンをやってるうちに寝てしまったらしい。
「……メールだ」
 期待に胸が高鳴るのがわかる。
 あたしはメールを開いた。
『件名:詩季です 本文:昨日はいきなりメールやめてしまってごめんなさい。電池が切れちゃって……』
「電池切れ……。ただの電池切れのために、あたしはあんな気持ちになってたっての……?」
 メールがこなかったその理由もムカつくし、メールがきたことに僅かにでも喜んでる自分もムカつく。
『別に待ってませんでしたから』
『なんだ、待っててくれたかと思ってました』
『別に待ってませんでしたから』
 あたしはあえて同じ文で返した。
 『冷たすぎませんか?間違いメール送って怒ってるかもしれないけど』『別に怒ってないですけど』
『若干、面倒くさいんでしょ』
『かなり』
 でも若干楽しくもあった。
『いくらメール送っても君のとこいっちゃうから、メールしない?なんか君、楽しそうだし』
 何言ってるんだ、この人?
『本気ですか?』
『大真面目』
 でも暇つぶしにはなるか。
『んじゃ、とりあえず、君ってやめてください。櫻です』
 こうしてあたし達は、あたしの期待と間違いメールから始まった。
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