泡沫眼角-ウタカタメカド-
言乃にとって叔父と話すのはとても楽。
近い親戚だから声も通じる上に、力を持つという点で似たような境遇にある。
遠慮はどこにもない。
――それでも敬語を崩さないところが、言乃らしいところかな
雅は掃除の手を止めて言乃に笑いかけた。
「じゃあ、話はお茶でもしながら聞こうか」
二人は神社の裏にある雅の家に入った。
近くに言乃の家もあるし、何度も通った場所。
もう言乃は慣れっこになっていた。
家業が神社といっても家は普通の家。
よくある洋風にされた家の中を神主の格好のままで歩き回る雅は、何だか景色とちぐはぐとしていて、思わずクスリと笑った。
――ここだけは、何度見ても慣れません
やがて、二人分のお茶を持った雅がテーブルについた。
「さて、話してごらん」
「はい…」
言乃はひとつ、大きく息を吸い込み、慎重に言葉を選びながら語りだした。
「前からの……知り合いに会うかもしれないんです」
「それは霊の、ということかな?」