泡沫眼角-ウタカタメカド-
言乃と恵は不安げに顔を見合わせた。
『どこに潜んでるかもわからないし、多くの人が集まるなら隠れて事もやりやすいわ。あなたの言うように犯行がまだ続くっていうのなら、ここを狙わない手はないわ』
そういって朋恵は言乃をじっと見つめた。
突然、事件はまだ終わっていないといってきた言乃を測るような視線だ。
何を根拠に言うのか、わからない。
故に信用していいのか。
そんな思考が朋恵の中で広げられているのがわかる。
信用は言葉だけで築くものではない。
言乃は小さく息を吐いて、
【わかりました。お受けします】
まっすぐ返事をした。
そして、この状況というわけだ。
しかし、言乃の証言しか行動の根拠がないためにそう多くの人間は割けない。
それでも、何人か借りてこれたのは狸翠の力添えがあったからに他ならない。
「高橋と屋代さんは他の方から行ってもらうことになってるから、私たちも移動しましょうか」
「は、はい!」
危険があったときのために、刑事が付き添って行動する。
──だからって、どうして朋恵さんなんだろう…
恵は泣き出しそうな気分で軽く口をつぐんだ。
人見知りなんだって私!
朋恵さんとは前の事件のときから顔見知りではあるけど、ほとんど会話なんてしたことないし!
おまけになんかいろいろと怖いし。
今も音を立てているヒールとか。
あれが炯斗を襲ったところを見た回数は少なくない。
そんな関わったことない人といきなり二人きりだなんて、無理だし!
ねえ、無理だし!
「そういえばさ、」
「はは、はい?」
ビクッとして朋恵を見上げた。