悪魔のようなアナタ【完】




<side.晃人>



翌朝。

08:45。


晃人はビジネスバッグを手に3Fの取締役室へと向かっていた。

途中、階段のところでファイルの山を抱えて階段を上る灯里の姿を見つけ、足を止める。


灯里は厚手のファイルを数冊抱えており、フラフラし見るからに危なっかしい。

晃人は周りに誰もいないことを確認し、とっさに階段を駆け上がって灯里の横から腕を伸ばした。


「危ないぞ」

「あ、晃くん。……じゃなかった、取締役」


灯里は驚いたように晃人を見る。

昔から変わらない純朴な黒い瞳に、晃人は少し笑った。


「大荷物だな。大丈夫か?」

「あー……、はい。実は3Fに移動することになりまして……」


一生懸命敬語を使おうとしているその姿がなんだか可愛らしい。

晃人はくすりと笑い、ファイルを半分取り上げた。



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