悪魔のようなアナタ【完】



<side.晃人>



同じ頃。

晃人は取締役室でシステム部の佐藤部長の報告を受けていた。


「土曜零時にバックアップしたデータを確認してみましたが、該当のファイルは見つかりませんでした」


佐藤はノートパソコンの画面を見せながら晃人に説明する。

晃人は頭の中でざっと情報を整理した。

……となると。

金曜の夜のうちにデータはなくなっていたということになる。


「そうですか……」

「それでですね。金曜の夕方のファイルアクセス記録を見てみたのですが……」


佐藤は手早くキーボードを叩いて追跡ソフトの画面を表示する。

その顔は心なしか強張り、画面のある一点を見つめている。


「このデータからすると……多分……」


佐藤は言い辛そうに口を濁す。

佐藤が見つめる視線の先にはある人物の名前があった。


< 137 / 350 >

この作品をシェア

pagetop