悪魔のようなアナタ【完】
<side.晃人>
21:00。
晃人は他の役員や部課長達とともにホテルの最上階のバーでグラスを傾けていた。
毎年恒例の懇親会という名の飲み会だ。
晃人の前に座った白髪の役員が上機嫌な様子で口を開く。
「今日はかなり商談が来ましたな~」
「明日も今日みたいにいくといいですねぇ」
取締役達は皆、機嫌良さそうにグラスを傾けている。
晃人は適当に相槌を打ちながら灯里の姿を思い出していた。
――――あの時。
晃人は心臓が止まるような気がした。
壇上に倒れた灯里の体、投げ出された足……。
あの時のことを思い出すと今でも背筋が凍るような気がする。
あの時、とっさに灯里を抱き上げて運んでしまったが後悔はしていない。
あのあと灯里から無事にホテルについたとメールがあった。
しかし。