悪魔のようなアナタ【完】

5.桃争奪戦





翌日の10:00。


一行は寒河江のフルーツパークにいた。

フルーツパークは季節によって収穫できる果物が違い、8月の今は桃の最盛期となっている。


「灯里ちゃん、こっちにいっぱいなってるよ~」


灯里は山岡課長とともに桃園の端の方で桃を選んでいた。

枝からぶら下がっている桃はどれも濃いピンク色で美味しそうだ。

葉の裏に隠れている桃や木の枝に隠れている桃を、ひとつひとつ見ながら選んでいくのは宝探しみたいで楽しい。


「どういうのが甘いんでしょうかね?」

「ぼくはあまり詳しくないからな~。とりあえず大きくて赤いのを狙っていこうかな」


山岡課長が手にした籠には既に美味しそうな桃が3つほど入っている。

この桃園は桃狩りで取った桃を一人5個まで持って帰ることができるらしい。

家内に頼まれていてね~と言いながら桃を選ぶ山岡課長はとても楽しそうだ。

その笑顔を見ているだけで、円満な家庭なんだなというのがなんとなくわかる。


「うーん……」

< 212 / 350 >

この作品をシェア

pagetop