悪魔のようなアナタ【完】



「一連の事件の犯人は彼女だった、と。そういう認識でいいですか?」

「ああ。……だが水澤、君にも原因の一端がある」


晃人の言葉に玲士は目を見開いた。

晃人はひとつ息をつき、ゆっくりと口を開く。


「河瀬は君が好きだった。だから君が想いを寄せている灯里を陥れようとした」

「……え?」

「電機産業展での灯里の怪我も河瀬の手によるものだ。だから灯里の怪我は、大元は君のせいとも言える」


晃人の言葉に玲士は息を飲んだ。

――――灯里の怪我が、自分のせい……。


晃人は刃のような鋭い瞳でじっと玲士を見つめている。

これまでに見せたことのないその鋭さに、玲士は内心息を飲んだ。


「俺は灯里に危害を加えるものを許しはしない。今回は俺の権限で河瀬を処理した」

「……」

「灯里がこの会社にいる限り、灯里は俺が守る。それは今の君にはできないことだ」


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