悪魔のようなアナタ【完】




翌日の昼過ぎ。

灯里は休憩室でぼーっと携帯の画面を眺めていた。


あれから晃人にメールをしたらすぐに返事がきた。

晃人からの返事メールを見つつ、ぼんやりと昔のことを思い出す。


昔はメールも電話もせずに、晃人の家に行き『晃くーん』と呼ぶだけで彼に会うことができた。

晃人はいつでも優しく灯里を出迎えてくれた。

一緒に遊んだり、勉強を教えてくれたり……。

晃人は灯里にとって、まさに『お兄さん』という感じだった。


けれど今は彼は取締役で自分はただの社員だ。

昔のように気安く近づくことはできない。


灯里は晃人からのメールを何度も読み返した。

『一週間後の土曜、カフェで会おう』と晃人からのメールにはある。

とりあえず『了解』と返しはしたのだが……。


ぼうっとメールを見る灯里に、横から声がかかる。


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